女ひとり、嵯峨野を行く

erikosama2006-08-23

 一人で居ることは、苦痛じゃない。
 むしろ楽しい。
 たとえ親しい人でも、ずっと一緒に居ると、わずらわしくなる。

 旅行は一人で行きたい。
 一人で食事することは寂しくない。
 映画は一人で見たい。
 一人が好き。一人で居たい。一人暮らしが好き。

 何日も人と接することがなくても、平気。
 好きなものに囲まれていれば、寂しくない。
 寂しくない、寂しくない。
 わずらわしいことを抱え込むぐらいなら、一人で居る方がいい。

 そうして、私は、一人になった。
 望みどおりに、わずらわしいものを捨てて。
 気楽で、幸せだ。
 人肌のぬくもりも忘れ、心の痛みも忘れ。

 
 「寂しくないの?」
 とは、よく聞かれる。
 「強いね。」
 とも、言われる。

 人にどう思われようと平気だし、「変わった人」で、済まされて、それ以上踏み込まれない方がいい。
 心を閉じたままで。

 どうせ一人で、いつかは死ぬのだから、一人に慣れておいた方がいい。大事なものを失った時に、寂しさで壊れてしまわぬように。


 人は、一人では生きていけないというけれど。
 一人で生きていけるように、なりたい。

 そう思ってはいるけれども、それは「強く」なろうとしているのではなくて、ただ、逃げ続けている弱虫の敗者の道を進んでいるだけではないかと、思う。




 逃げて、逃げて、一人で、逃げて、逃げ続けて。
 

 竹林の隙間から、道を照らす光が射し、目が眩む。
 寂しさを照らす光に心を射られる、嵯峨野の道。