野々宮

erikosama2006-09-11

嵐山から天龍寺を横切り嵯峨野へ続く竹林を抜けると、そこに野宮神社がある。 
 源氏物語にも登場し、そして何よりも「縁結び」の神社として知られている。


 境内には様々な想いの籠められた絵馬が奉納されている。あの人と両想いになれますように、あの人と恋人同士になれますように、良き人と結婚できますように、素敵な人と出会えますように、と。


 恋愛は、痛い。至福の喜びと表裏一体に、失う怖さと寂しさが存在する。そうして、人は、弱くなる。

 痛みと弱さと寂しさと引き換えにしてまでも、「縁結び」を願うものなのだろうか。結ばれて、その果てにあるものは、極楽だけではないと知っていても。弱くなっても、哀しい朝に遭遇しても。


 それでも、縁を求めて、人はここに来て絵馬に想いを託すのだろうか。苦しむ為に、別れる為に。


 その痛みが、人を捕らえて離さない心地よい痛みだから、縁結びを願うのか。



 野宮を抜けると、その先は、嵯峨野。

 寂しい道を照らす竹林のはざまよりこぼれる光。

 都の外れの人恋しい嵯峨野。

 野宮神社に人足の途絶えることは無い。